決して成る筈はないと思っていた、平家と源氏の和議が成る日を明日に控えた夜。
俺の前に現れたのは、奇妙な女だった。










Endless loop










その女は抜き身の刀を片手に携え、自らを白龍の神子だと名乗った。
そしてその切っ先を俺に向け、こう言った。自分と戦え、と。


確か白龍の神子は有川の幼馴染で、今回の和議に一役買った、立役者ではなかったか?
熊野までもが動かなければ、決して成ることのなかった和議。





それを、成した女
――――――――





余程のお人好しか、そうでなければ北条政子を退けたというくらいだ、それほど強かな女なのか。
・・・そう思っていたのだが、目の前に現れた女はどうだろう?
今にもへし折れそうな腕と、真っ白な肌をした、どこにでもいるただの女だ。





―――――― ・・・ただひとつ。獣のようにギラギラと、欲を抱えた瞳を除いては。





実際目の前にしてみると、今まで会ったどんな女よりも、期待以上のいい女だった。
その細い腕の何処に、それだけの力を隠していたのか。
・・・白龍の神子は、その可憐な外見にそぐわず。重く、鋭い剣戟を、まるで舞うように繰り出してくる。
内面に、酷く醜い欲望を抱えながら、けれどそれでいて優しく慈悲深い、美しい白龍の神子。


彼女が振るっているのは、紛れもなく人を殺す力であるのに
神聖なものにさえ見える剣閃は、思わず見惚れてしまいそうで。
刃が交わる度、綺麗な長い髪が揺れ、近距離で垣間見るその瞳に、囚われてしまいそうになる。
その動作のひとつひとつに、否応もなく無性に・・・






――――――――― 煽られる。






初めに口にした言葉通り、女は俺に“自分”と、消えない傷痕を残して去った。
見事に、あの存在を刻み付けられてしまった。
忘れようにも忘れられない、夢にまで見そうだ。
あの瞳、あの剣、あの美しさ・・・・・・あんなにいい女を、今更忘れようとも思わないが。


後姿が消えても、未だ指の先に残る感触が、幻ではないと告げている。
醒めやらぬ興奮。まだ躯が震えている・・・指先が痺れ、甘く、咽返るような心地良さ。
その甘美な余韻に酔いしれたまま、夜風に吹かれ、やがて熱が冷めゆく頃。
この手に残された龍神のものだという逆鱗を見おろして、一人考えた。



「・・・・・・いつか、刻み返さないわけにはいかないな・・・?」



その穢れのない綺麗な躯に、深く、深く刻み付けよう。
俺という、二度と消せない傷痕を。
いくら忘れようと思っても、忘れたいと願っても、絶対に忘れたりなどしないように。
思い返すだけで熱くなって、傷が疼くように。
俺がお前を欲し、焦がれ、忘れられないのと同じくらいに。








この傷痕こそが、隔てた時空にいる俺とお前を繋ぐ証。








「クッ、完全にしてヤられたぜ・・・」



欲しい、欲しい、全て奪ってやりたい。
その綺麗な躯も、脆い心も、可愛い声で啼くだろう唇も。
欲に塗れたあの眼差しも、酔いしれそうになる剣技も全て
――――――――






俺にしか、向けられないように。


・・・もう1度、あの瞳に射貫かれてみたい。





幾度も時空を繰り返し、求め、探し、追い続けたあの女は。
何時どの時空で出逢っても、美しかった。
けれどいつも、内に飼っているあの獣は眠らせたままだ。


違う、違う・・・俺とお前はもっと似た人種の筈だろう?
・・・まだ足りない。俺が会いたい、焦がれているお前はそんなものじゃない。
まだ、見せてくれないのか?焦らしてばかりいないで、あの眼差しを見せてくれよ。


もっと俺を欲しろ。そうしてもっともっと、お前を見せてみろよ。
煽るだけ煽っておいてお預けだなんて、あんまりじゃないか・・・?
早く、早く見せてくれ。潔白な神子としての美しさと、押し隠している欲望。矛盾に満ちたお前の姿を。
俺がこれだけ餓えているんだ・・・そろそろくれても、いいだろう・・・?



「ずっと・・・お前に・・・会いたかったぜ。」



刻み付けてやる。
俺が死んでも、一生残るくらい深い、傷痕を。
今でも俺に、甘い疼きをもたらすこの傷痕を
――――――――― ・・・




やっと、会えた。




その傷痕がある限り、俺はお前を忘れられないだろう?
俺がお前を、忘れられなかったのと同じように。
・・・今度はまた、お前が俺を欲して追い求めてみろよ?
俺がお前の、手の届かないところまで逃げるから。
忘れられないように、きっちり刻み付けて逝ってやるよ。



「じゃあ、な」



歪めた時空、歪んだ愛情。
なにもかもが歪み切った俺達の、これが歪な愛情表現。










時空を繰り返し、
歪んだ愛を深めてゆく。宴は終わらない、それは致死量の・・・・・・















戯言。


致死量の、なんなんでしょうね?あはは・・・(乾いた笑い)変態でごめんなさい(平伏)
十六夜記をやって、あまりのクリティカルヒット!!(by将臣)
・・・な知盛の変態さ加減に、ついつい任那大暴走してしまいました。
知盛みたいな変態、大好きです。そんな任那も変態だという疑惑が湧いてきましたが・・・(汗)

えっとですね。このお話、解説しますと。
知盛ルートに入って戦闘しておきながら、敵の強さを弱いとかにしておいて
失敗(バッドED)すると、望美ちゃん知盛に逆鱗渡しちゃうんですよ。
この話はその後の知盛の、捏造話です。

平泉ルートで知盛と戦うと、“ずっと会いたかったぜ?”っていうじゃないですか!!
でも実際は熊野でも会っているわけで、ずっとって言うほどずっとは
時間経過してないんじゃないかと、任那は違和感を覚えまして・・・。
おかしいな、と。その後、知盛EDを見て行き着いた結論がこれです!

平泉ルートの知盛は、1度バッドEDで望美に会っている知盛で、
実は逆鱗を使って時空をぶっ跳んで来たんだよと・・・!!!!
(妄想がお盛んです)
知盛にとっては、バッドEDが1週目で初めて望美に会い
それから2週3週と廻っていって、望美に会うんですよお母さんッッ!!(誰)

あの強姦未遂事件(笑)のときも、“まだ見せてくれないのか?”みたいな
まるでもっと前から、望美ちゃんを知っているような発言をしていると思うのですよ!!
だって、望美は既に会っているからともかく
熊野で初対面にしては、知盛が望美にのめり込んで執着するの速過ぎじゃないですか!?

そ、それにさ!熊野で会ったとき“このときはまだ生きてる”みたいな選択肢すると
ちろりーんって絆が深まるのは、実は知盛も望美を知っているからとか・・・!!(こじつけ)
そんで2人は、知盛が海飛び込んで、望美が歴史を変えて知盛に会って、
また知盛が望美に執着するという無限ループを繰り返してるんですよおぉぉぉ!!!(落ち着け!)

あぁ、深い!深いわ、チモ!そんな歪んだ愛情はどうですか!?駄目ですか!?(発狂)
でもいつかは、そんな無限ループを経由したうえで知盛EDに陥って欲しいです。それが理想。

・・・とまぁ、かなり暴走してしまってますが(汗)
任那が言いたいことはきちんと通じる文章になっているだろうか・・・?
PCでR指定チモファンディスク(知盛&銀の兄弟でもいい・・・!!)とか出ませんか?(末期)


追記。

読み返したら、自分としては意外と変態度が低いことに気が付きました。がっくり。





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2005/09/28