・・・その日も雨が降っていた。
嵐のように耳障りではないけれど、でも窓に打ち付ける雨の音が
今、確かに雨が降っているんだと教えてくれている。
・・・・・・・・・そんな、雨だ。


僕は、こんな雨が降っていた日を知っている。


―――――――――― ・・・いや、知っていた。


―――――――――――― ・・・そう。僕が彼女を裏切った日。
・・・丁度、こんな雨が降っていた・・・












灰色の雨













「夜更かしなんかしないで早く寝るんだぞ。」


「うん、アズリアおねえちゃん。」


「・・・それじゃあ。おやすみなさい、イスラ。」


「おねえちゃん、せんせい。おやすみなさい。」




パタン。そんな音をたてて、部屋の扉が閉められた。
・・・僕はベッドに座ったまま、外の音に耳をそばだてる。
しばらく2人が何やら話している声が聞こえて、それから足音が二手に別れた。
どうやら、2人もそれぞれの部屋に戻って行ったようだ。
完全に足音が聞こえなくなってから、僕はベッドに潜らずに、窓際に座って外を眺める。


・・・眠るのは好きじゃない。今までずっと、寝ていたようなものだから。
だから・・・夜は嫌いだ。嫌でもあの日々を思い出す。
特にこんな雨の降っている夜は、余計なことも思い出してしまうから
決まってなかなか寝付けない。




「・・・ずっと一緒にいるって言ったのに・・・ウソツキ。」




そんな風に呟いて、自嘲する。
今、僕の隣にいない彼女がした約束は、そんな意味じゃない。
歪曲して捉えなければ、彼女はきちんと約束を守っているのだから。

・・・それにしても、彼女がした約束はとんでもないものだと思う。
普通、そんな簡単に約束しないようなことを。迷う仕草も見せずに、笑ってしたのだから。
彼女の約束に、僕と姉さんがどれだけ救われただろう・・・?


・・・けれど、ふと思うことがある。
彼女は“記憶を失ったイスラ”に同情して、そんな約束をしただけ?







“記憶が戻った僕”には、あの約束は無効ですか・・・?







・・・多分、馬鹿正直な彼女はそんなことは言わないだろうけど。
――――――――――― ・・・でも、そんなことさせる気もさらさらないから。

たとえ今の僕が多くのモノを失っていたとしても。
何も持っていなかったとしても。

彼女との約束さえあれば、それだけで十分だから。







デモ、マダ伝エルノハ怖イケレド。







「あんな約束。・・・そんなに簡単にしちゃって良かったの・・・?アティ・・・」







――――――――――― ・・・後悔しない?







・・・きっと、今の僕は。
本当に嬉しそうに笑っているのだろうから・・・










いつか、いつか。
近い未来に、きっと話すから。

―――――――――― ・・・だから、そのときは・・・
あの約束を、果たしてください。




ねぇ、先生・・・?




















戯言。


えっと・・・雨、降ってませんでしたっけ?
卑怯者の時のアティのモノローグっていうか、そんなとこに書いてあったような・・・
それとも、窓の外見てただけですか?だったら降ってたことに!っていうか降らしとけ!
あぁ!降らせてやるさぁ!!じょうろでもホースでもどんと来いですよっ!!(アホ)

・・・灰色灰色。誰が何と言おうと灰色イスラです。
もういいんです、書いてる本人もわけ解ってないから。
設定としては、記憶が戻った直後のイスラってコトで。

タイトルには意味がないです。敢えて言うならイスラが白と黒の中間で灰色なんです。
英語にしようかとも思ったんですが、響きも微妙だし
単語単体以外の英語って、そりゃ灰色の雨って言ったらあれ以外になり得ないのですが
怖いので(小心者)じゃぱにーずで。
だって英語の何が嫌いって文法なんだもんよー。ちくしょーてやんでぇばろぅめぇ。(何)

とりあえずただ最後の良かったの?ってところが書きたかっただけなんです、はい。
・・・しかし、強気なんだか弱気なんだかわからない事体に・・・(汗)

・・・ところでイスラって何歳なんですか・・・?






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2003/09/20