少年遊戯
















「イスラ・・・ここにいたんですか。」




アティはそう、探していた背中に声を掛けた。
それに、周りに纏わり付いていた3つの小さな影が振り返る。




「あ、先生!」


「よっ、先生!」


「先生さん!!」




・・・そうして、最後に彼が。




「アティ?どうしたのさ?」




不思議そうに言う彼
―――――――― ・・・イスラの顔を見て、アティは微笑んだ。


記憶が戻った彼は、たまにこうして。
以前のようにスバル達の遊び相手をしている。
子供達の、その純粋すぎる順応性は




――――――――― ・・・イスラにとって。多少なりとも、救いになったようで・・・




「・・・いえ、特に用事があった訳じゃないんですけど・・・姿が見えなかったから、どこにいるのかと思って。」


「へぇ?それだけで僕のこと探しに来たんだ?」


「・・・う゛。・・・・・・そ、そうですよ?」




イスラのからかいを含んだ視線に、アティはたじろぐ。
・・・どうもその視線は苦手なのだ。




「僕ってば、随分愛されてるね。」


「い、イスラッッ!?」


「・・・あれ?違ったの?」


「ち、ちちちちち・・・ひゃうッ!?」




顔を真っ赤にして、なにやらわけのわからない呪文のようなものを唱え舌を噛むアティと
それを見て、クスクスと楽しそうに笑うイスラ。

そんな2人のやりとりを蚊帳の外で見ていたパナシェが、ポツリと呟いた。




「うわぁ・・・本当に先生とイスラさんって、らぶらぶ・・・?なんだね。」




ゴン!!




悪意の無いその発言に。アティは思わず、近くにあった木に頭をぶつけるハメになった。




「うわっ!先生が!!(驚)」


「アティっ!?何やってるのさッ!?(汗)」


「せ、先生!大丈夫!?(焦)」


「先生さん、しっかりしてくださいですよぅ!?(慌)」




全員に心配され、アティはズキズキと痛む頭を抑えながら
『大丈夫です・・・』と笑って見せる。


けれど瞳の端には涙まで浮かんでいて、とても大丈夫そうには見えなかったのだけど・・・。




「・・・イタタ・・・。パ、パナシェくん。どこでそんな言葉を覚えてきたんですか・・・?」




アティがそう問うと、パナシェは丸い瞳をきょとんと更に丸くして、首を傾げる。
アティはその曇りのない、ビー玉のような瞳を見つめる。




「・・・?ヤード先生が言ってたんだよ??」




ヤードさん。後で浜辺までご同行願います。Byアティ




ぎゅ・・・!と先程頭をぶつけた木を力任せに掴むアティ。
木はアティの握力に耐え切れず、ミシミシと嫌な音を立てていた。

先陣を切って帝国軍や無色の派閥員を薙ぎ倒していたアティの腕前は
女といえども伊達じゃあない。(←戦闘タイプ)

けれど、それに気が付いたのは幸か不幸か、イスラだけだった。
・・・スバルが続ける。




「なに言ってんだよパナシェ。そんなの、今更だろ?」


「そうですよ〜。ワンワンさん、おくれてるのです。」


「えぇッ!?そうなの・・・!?」




なにやら雲行きの怪しくなってきた展開に、アティが待ったをかける。




「ま、待ってください3人とも・・・」




けれど。魚が水中に住んでいることを話すかのように、さも当然の如くそう言い切るスバルは
アティの静止の声も耳に入れずに、そのまま続けた。




「だって。母上が、2人の子供はまだか・・・って言ってたぞ?」




「えええええええッッ!?」




アティの、悲鳴にも近い叫び声が木霊する。






ミスミ様・・・ッッ!!!

(言い知れない感情の渦)






「そのあと、ニンニンさんが泣きながらどこかに走って行っちゃったのですよ。
お腹でも痛かったのですかねー。」


「・・・そう、キュウマがね・・・。ふーん・・・」




ポツリとつぶやいて、イスラが何やら黒い笑顔を浮かべる。
ちょっとしたブラックホールを背負うイスラに、パナシェがぞわわっ!と全身の毛を逆立てた。
・・・が一方アティは、あまりのことにそれに気が付く余裕すらないらしい。




「でもさ、なんかそれって楽しみだよなぁ。」


「きっと、可愛いですよ〜。」




何も言えずに、金魚のように口をパクパクとさせているアティに
パナシェの、トドメの一声が聞こえた。




「先生!赤ちゃんはまだなの!?ボク、早く見たいな!!」




にっこりと笑ってこちらを見上げるパナシェに、アティは今にも煙が立ち上りそうな・・・
まるで火山が噴火した時のように顔を真っ赤にさせて、パタパタと大きく手を振った。




「あ、あわわわわ・・・えっとそのあの・・・
落ち着いてくださいね、みんな。私とイスラはそんな・・・」




ポン。




『そんなんじゃありません。』




・・・と言おうとしたアティの肩に、温かい誰かの手が置かれた。
それに一瞬ビクッ!と体を震わせたアティは
嫌な予感をヒシヒシと背中に感じながらも、恐る恐る後ろを振り返った。




そこには、不気味なくらい満面の笑みを浮かべたイスラが・・・




「・・・みんなのご期待に沿えるように精一杯努力しないと。・・・・・・ね、アティ?」




笑顔のハズなのに、とてつもない威圧感を感じるのは気のせいだろうか・・・?
いや、気のせいではない。(反語)


笑顔に気圧されて、何も答えられずに。アティが思わず1歩後退りすると
アティを追い詰めるかのように、イスラが1歩前に踏み出す。

そんな押し問答が数回繰り返され
ついにアティは、背後に生えていた木によって退路を塞がれてしまう。

怯えを隠さないアティに、イスラは満足そうに微笑んで・・・
―――――――― ・・・それはもう、お日様のような笑みだった。




―――――――――― ・・・じゃあ、行こうか?」




そう言って素早くアティの腰に手を回すと。見かけによらず、有無を言わせぬ強い力で
アティを何処かへと引っ張っていく・・・。




「え・・・?えッ!?い、イスラ!?何処に行くんですかッ!?(汗)
・・・・・・イスラ〜〜〜ッッ!!!(顔面蒼白)」




完全に蒼褪めているアティを連れ去って行く途中。
イスラは、何が起こっているのか解らずに
ポカンと口を開けてこちらを見ているスバル達を、器用に視界の端に捉えると
・・・敵対していた時のような、悪戯好きの子供のような顔をして振り返って・・・




「・・・じゃあね、みんな。」




・・・それだけを告げた。


しばらく、何が起きていたのかイマイチ理解出来ずに
その場に呆然と立ち尽くしていた3人だったが、2人の声が遠ざかり、
その後姿も見えなくなると、疲れたのか、ポスン・・・、と地面に座り込んだ。

そうして盛大な溜息を吐く。




「・・・先生とイスラのとこには、まだコウノトリ来てないんだな。」


「違うよスバル。赤ちゃんはキャベツ畑にあるキャベツの中から生まれてくるんだよ?」


「えぇ〜?ワンワンさんもヤンチャさんも、何言ってるのですか。
人間の赤ちゃんは、桃から生まれてくるのですよぉ。」










そうして日が暮れるまで。彼らはそんな議論を繰り返していたらしい。
勿論、それを聞いた大人達が。アティの身を案じたのは言うまでも無く・・・

・・・一体、イスラに連れ去られたアティはどうなったのか・・・
それはまぁ、皆さんの想像にお任せするということで。(笑)



















戯言。



テーマは『みんな気が早すぎ』です。(笑)
なんだか全体的に暗めとか、独白とかが多くなりそうだったので
明るくしてみようと頑張ったモノです。(しかも不発に終わる)

・・・いや、絶対そんな展開にならないってばよ。

・・・っていうか、2人の仲は島人の公認なのですか。
任那もまたアホ臭い話を・・・(汗)
ひとまず、イスアティを思いつくときに思いつくだけ書いてしまおうと。そんときが旬だと思うしね。
でないとすぐに書けなくなっちゃいますから、出るだけ出しときます。短くても変でも。頑張る。
とか言いつつ。もうネタ尽きかけてますが。(うわぁ)
妙なネタが多いのは任那の脳内汚染の濃度を物語っています(笑)ご了承。

さぁて、アティはどうなったんでしょうねぇー・・・(微笑)














「イスラ
ーーーーーーーーーーッッ!!!!!」


「ちぇっ!誰か姉さんにチクったな・・・」


「あ、アズリア!!助けてくださいーーーっ!!」


「イスラっ!!ここにいたかっ!!」


「・・・なにさ?姉さん・・・」


「・・・・・・(無言で剣を構える)」


「・・・・・・っ。」


「手加減はせんぞっ!!」


―――――――― ・・・見せてあげるよッ!!」


「・・・あ、あの・・・2人とも喧嘩は・・・・・・(汗)」







・・・どうにか助かりはしたようですね(笑)










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