偏愛10のお題



中途半端に思いついた捏造カルマルートを書き散らしたかったが為だけに借りてきたお題です。

基本設定としては、初期ギアン
(※ここでは、ED後のような可愛いギアンではなく、ゲーム中のSっけたっぷりなギアンであることをこう示す。)
とフェアで書き殴っています。決して大団円とは言えない2人です。
最近文章を書くことから遠ざかっていたので尚一層稚拙な文章ですが、頑張ってリハビリします。

ちなみにお題を借りたのはコチラ→
創作者さんに50未満のお題







 1 胸が打ち震えたその瞬間
 2 触れたい、抱きしめたい
 3 唇開いて名前を呼んで
 4 夢見るほどに君を想う
 5 恋なんて言葉じゃ足りない
 6 いつまで囚われたままなのか
 7 他には何もいらないのに
 8 僕の世界に君を閉じ込めたい
 9 何も隠さず全てを見せて
10 最後の時まで愛してあげる





























1 胸が打ち震えたその瞬間




「1人になるのは・・・っ、もう、嫌だよぉ・・!!」


震える肩、頬を伝う透明な雫、ふっくらと色付いた唇から、微かに漏れ聴こえる嗚咽。
これまで必死になって気丈に振舞っていた彼女が、ガラガラと音をたてて無残にも崩れ落ちてゆくsその様は、
言葉では形容できないくらい、とてもとても美しかった。
思わず零れそうになる笑いを噛み殺し、真剣な表情をつくるのに、少しばかり苦労する。


「大丈夫だよ、フェア。」


泪に濡れた睫がふるりと揺れ、その奥に隠された蒼い双眸がギアンを捉える。
それだけで、背筋をぞくりと冷たいものが走った。


「ボクがいる。どんなときだって、ボクだけは君の傍にいるから。」


その瞬間、虚無しか映していなかった少女の瞳に、
自分の姿がはっきりと映りこんだのがわかったから、ギアンは更に微笑んだ。
もう2度と、彼女の瞳が自分以外を映せないようにと祈りながら。




――――――――― ・・・だから君は、安心してボクに身を委ねれば良い。




決して嘘ではない。
真っ直ぐな気性の彼女は、あの子のように気付かぬ振りをしてはくれないだろうから、真実だけを告げている。


「・・・だから、共にいこう、フェア。」



『一緒に戦わなくても、ボクのことを嫌ったままでも構わない。』



そう言って絶望が差し出した手を、恐る恐る少女はとった。
自分にはない少女の手の暖かさが、冷たく、紅く染まった手にじわりと染み渡ったとき。
それは、光の中にいた少女に闇が射した瞬間だ。
ギアンは、いつも空虚を抱えていた己の胸が、喜びに打ち震えるのを感じた。


―――――――――― ・・・大丈夫。




コレデモウ、ボクハヒトリジャナイ。








捏造カルマルート。
16話のあの会話で、そのままフェアがギアンに付いて行ってしまったら
どうなるだろうかと考えると、どうにも楽しくて堪らない。

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2 触れたい、抱きしめたい




闇の中に身をおいた少女は、それでも光を失うことなく、無意識のうちに闇と同化する事を拒んでいた。
暗闇に目の慣れすぎたボクは、眩しそうに彼女を視ることしか出来なくて、
本物の光と闇のように、ただひっそりと肩を寄せ合う。まるでそれが、当然のように。

でも本当は出来るならば、この手で光を覆い、隠して、触れて、抱き締めて。
彼女をこの宵闇の中に閉じ込めてしまいたいのに。
それでも彼女の纏う光は眩しく輝いて、それが“相反する存在”なのだと、ボクの腕を拒んだ。






捏造カルマルート1.5(.5ってアンタ)
奪い去ってはみたものの、その違いが悲しくて戸惑う。

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3 唇開いて名前を呼んで



「ギアン、ギアン・・・」


すぐにでも崩れ堕ち、そのまま闇に溶けて消えてしまいそうなボクは、
かろうじて、今にも闇に呑み込まれてしまいそうな君が、
ボクの名を呼ぶその声によって、ここに繋ぎ止められている。
段々闇との境界線があやふやになってゆくボクは、君がボクの名を呼ぶその声を聴くたび、
ボクが今ここに、確かに存在しているのだと感じることが出来るんだ。



あぁ、だからお願いだよ・・・



「フェア・・・もっと、もっとだよ。まだ足りない。頼むから、ボクの名前を呼んでくれないか?」


君のその唇から零れ落ちる言葉が、ボクのものだけになったなら。
追い詰められた君が、縋るように口にする名が、どうかボクのものでありますように。







捏造カルマルート、いつの日かの出来事。
“自分”を認識してくれる“他”がなければ、自己が認識出来ない。
フェアたん依存症、フェアたん中毒のギアンたん。

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4 夢見るほどに君を想う



夢の中でボクは幼い頃の、何も出来ないボクだった。
足に絡みつく鎖、陽の光の射さない、埃っぽく湿った空気の地下室で、
ボクは耐えると言うよりも無理矢理に与えられる苦痛に、泣き叫んでいた。


『やめてえぇぇぇぇーーーーーーーーーーっ!!』


叫んでも、叫んでも。それが止まないことは解っていた、助けが来ないことも解っていた。
ただそれでも、ボクは叫び続けた。それしかボクに出来ることはなかったのだから。
いつもなら、こんな夢を見た日は恐怖ですぐ飛び起きるのに、ただこの日の夢は違っていた。


「・・・あなた、大丈夫?」


頭上から降る優しい声に顔をあげると、闇の中でぼんやりと浮かび上がる白い手が見える。
誰からも必要されなかったボクに、差し伸べられた手。
その手を差し出した銀色の髪の少女に、ボクは必死になって縋りつき・・・


――――――――――― ・・・ボクの傍にいて。」


優しく差し伸べられたその手を乱暴に掴んで、この昏い場所へと引き摺り落とす。
夢の中で子供だったハズのボクは、いつの間にか大人になっていて、
目覚めたボクの隣には、夢に出てきたのと寸分変わらぬ少女が、すやすやと眠りについていた。







捏造カルマルート、ある夜の日の出来事。
そうやって、もぎ取ったのだ。彼女が隣に眠る、この幸せを。
初期ギアンの場合、自分を引き上げてもらうより、引き摺り落とすイメージがある。

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5 恋なんて言葉じゃ足りない



確かに愛おしい。

けれど誰にも奪われたくはないし、もう一生離してやらないとさえ思う。
彼女の幸せなど祈れない、幸せそうに笑う彼女の隣に、ボクがいないのならば。

――――――― ・・・君はもう、ボクという世界を支える支柱なのだ。

失くしたらもう、ボクという世界は崩れるほか道はない。
君という存在は、恋なんていう言葉では足りないほどに
――――――――



そう。喩えるなら、ボクという存在を生かし続けている心臓のように、そこにあって然るべきなんだ。







捏造カルマルート、君が支えるボクの世界で。
初期ギアンはフェアを好きになっても、空気とか優しいものに喩えない気がします。
なんとなく、人という字は明らかに
左の人間の方が楽をしているという格言(?)を思い出しました。

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6 いつまで囚われたままなのか




「お母さん・・・っ!!」


その声に、抱き寄せたフェアの肩がびくりと震えた。
それがはっきりとわかる、だからこそ余計に忌々しい。


「・・・フェア、君は奥にさがっているといい。」


俯く彼女を顧みずそういえば、その細い指がギアンの服の裾を懇願するように握った。
・・・ゆっくりと振り向くと、彼女は瞳に薄っすら涙を滲ませて、ギアンを見上げていた。


「お願い、ギアン・・・・」

「・・・・・・・大丈夫、殺さないよ。」



――――――――― ・・・君が、泣くから。

殺さないでと、願うから。



笑顔と共に吐き捨てると、面食らった彼女が少したじろぐ。
追い討ちをかけるように、言葉を紡いだ。


「君が悲しむようなことは、決してしないから。」

「お母さん、お母さんっ・・・ねぇ!?」


・・・彼女を説得するその間にも、かの声は五月蝿く喚き立て、その度にフェアの足取りが遅くなる。


「お母さ・・・・・っ、フェア!!!」


このままでは、彼女がアチラ側に戻ってしまうのではないかと思って、
躊躇うフェアの背中を、ギアンはそっと押した。

本当は、殺してしまいたい。自分から、やっと手に入れた彼女を奪おうとするあの竜を。
いとも簡単に、当然のように。彼女の愛情を、庇護を、暖かさを享受していた竜を。

―――――――― ・・・けれども殺さない。
殺せば、君はとてもとても悲しんで、ボクから離れていくのがわかっているから。

彼女の心と同じように、ゆっくりと。けれども無情にも閉じた冷たい扉に掌をあてる。
そうして、まだすぐそこにいるだろう彼女に、そっと問いかけた。


「・・・いつまで、君の心はあの竜に囚われたままなんだい?」


どれだけの感情でなら、彼女を完全に奪い去ることが出来るのだろうか。







捏造カルマルート2、フェア奪還戦。
違うのだとはわかっているけれど、忘れられないものもある。
揺らぐフェアを少々強引に繋ぎとめようとするギアン、みたいな感じで(笑)
一応書いておきますと、子供(竜の子)はコーラルです。

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7 他には何もいらないのに



ボク
サエイレバ他ニハ何モイラナイノニ、君ハ何処マデ他ノ命砕クノ






捏造カルマルート2+α。
微妙に上のお話と繋がっています。

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8 僕の世界に君を閉じ込めたい



もし君の瞳が、ボク以外のなにも映さず。
もし君の心が、ボク以外のなにも感じず。
もし君の手がボクだけに触れ、ボクに対してだけ感情が動き、
ボクだけのために声を枯らしてボクの名を呼び、ボクのためだけにその命が在り続けてくれたなら。
それはきっと、ボクにとってこのうえない喜び。



―――――――― ・・・君はボクの闇の濃さに、息絶えてしまうのだろうけれど。










捏造カルマルート、ある朝見た泡沫の夢。
自分のためだけに生きて欲しいというこの願いが、君を殺してしまうことはわかりきっている。
うちのギアンは、フェアに名前を呼ばれるのが好きっぽいです。
・・・任那は監禁ネタもイケるクチです、誰か恵んでください。(他力本願)

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9 何も隠さず全てを見せて



漆黒の闇に、まるで雨上がりの蜘蛛の糸のように広がる、美しい銀の髪。
月明かりを浴び、自身が光を帯びたかのように、ぼんやりと暗闇に浮かび上がる白い四肢は、
まだ成熟しきっていない、どちらかというと子供の身体つきだったが、
ギアンにとって極上の『餌』であることに変わりはなく、我知らずごくりと喉が鳴った。

自分が触れたら壊してしまいそうな気がして、最初は恐る恐る。
・・・けれど触れた途端、ビクリと撥ねた躯に気を良くして、段々と積極的に彼女の細部に触れた。

指先で、つーっとそのなだらかな双丘を滑り落ちるように(なぞ)れば、薄っぺらな躯が弓形に(しな)る。
乱れた呼吸と徐々に上がる躯の熱は、未知の行為に対する恐怖と、僅かな期待の証。
そんな彼女の様子に、自然口元には笑みが浮かぶ。
息を潜め、声を殺し。時折怯えたように躯を震わせ、必死に何かを堪える彼女の耳に、そっと囁いた。
恐ろしい、餓えた獣の凶暴な瞳を隠さないまま。


「・・・大丈夫、何も怖くはないから。だから―――――――――


お人好しな君の顔が、憎悪に歪むところ。
強情な君が、懇願して縋るところ。
明るさが取り得の君が、人知れず悲嘆するところ。
強がりな君が、何かに怯えてみせるところ。
聞き分けの良い君が、強請ってみせるところ。
心優しい君が、自分ではない誰かを羨望し、妬むところ。

普段は幼い仕草の君が
――――――――― ・・・





ボクの手で与えられる快楽に身を捩り、狂い、喘ぐその姿が見たいんだ。





『ボクに、スベテを見せてご覧?』





弱いトコロも強い部分も、君のスベテが見たいんだ。






捏造カルマルート?(ついに疑問系)月夜の秘め事。
いや、もう・・・むにゃむにゃ。

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10 最後の時まで愛してあげる



ボクが纏うこの闇は、毒が全身にまわるように、ゆるりゆるりと君の躯を侵すだろう。
泣き喚いても、生きてゆくことに絶望しても、いくら苦しいと言ってもがいて、君が死を懇願したとしても。
ボクは君に、安らかな死など与えはしない。
それはボクが、君が果てるその最期の瞬間まで、君を愛しているからということに他ならないのだ。

出来うる限りの刻を、ボクの隣で生きていて。
・・・例えそれが、君にとって苦しみしか残さないとしても。






捏造カルマルート、彼の模る愛の形。
死で独占する愛もあるだろうけど、初期ギアンは絶対に殺さないと思うのです。

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