ちゅ。 結果的に最後は、リョウガとリンリの姉弟が村を出て行くこととなり 少し前まではあんなにピリピリと神経過敏になっていたゴウラ復活の事件が 村中の人々に、夢か何かだったのではないかと思われるようになった頃の昼下がり。 あの一件以来。はぐれ召喚獣だからという理由で、クリーフ村で門前払いを受けなくなったガブリオは ほとんど決まって午後になるとエアのところへやってきて オルカやタタンと共に、お茶を飲むのが習慣になっていた。 ・・・と言っても、ガブリオの本来の目的はお茶をすることではなく。 あくまでエアに会うことなので、いつも一緒にいるゼライドも 付いて来たり、付いて来なかったりする。そして今日、ガブリオは1人だった。 今テーブルについて一緒にお茶を飲んでいるのは エアとその護衛獣のアーノ、みんなにお茶を入れてくれたタタンに (お茶なら大丈夫だ、とエアがアーノに呟いていた)それからガブリオの4人だけ。 『オルカは今日もきっとブルニードの所だろうし 親方は呪いが解けたら、久しぶりに腕が鳴るって鍛冶場に篭ってるの。』 エアの言葉を肯定するかのように、地下に繋がる階段からは カーンカーン!とハンマーで武器を鍛える音が聞こえてきていた。 「お父さん、無理してないといいんだけど・・・」 ガブリオが地下を気にしているのに気付いたのか、タタンが心配そうな顔をして言った。 「大丈夫だよ、タタン。親方だって、そんな無理はしないって。」 「うん・・そうよね。」 タタンはエアの言葉に頷くと、紅茶を一口啜った。 ガブリオも、それにつられるようにして紅茶を口に含む。 ふと視線をあげると、正面に座っていたエアとばっちり瞳が合った。 するとエアは、突如何か思い出したようだ。ポンと手を叩き、隣に座るアーノに囁きかけた。 「あ、そうだアーノ。あれ出してくれる?」 「ダメです!ご主人さまに渡すと、バーンってなっちゃうです!!」 少し酷いんじゃないかと思うような護衛獣の一言に、しかし正論なだけに何も言えず。 エアはガクっと肩を落とすと、気を取り直してアーノに根気よく言い聞かせた。 「じゃあ、テーブルの上に出してよ。」 「それなら大丈夫です!」 今度こそアーノは、まるでそれが自分の使命だとでもいうように ・・・そしてどことなく誇らしげに、何かをテーブルに置いた。 「ガブリオ、これ・・・」 「なに?」 エアの手元を覗き込んだガブリオは、すぐにそれがなんだかわかった。 それはあの日・・・リンリにタタンとオルカを人質にとられた日。 ゴウラの迷宮に踏み入れようとするエアに、ガブリオが渡した通信機だった。 「あ、通信機。」 「うん。あのときから、ずっとアーノが借りたままだったでしょ? 返さなきゃなって思ってたの。ありがとう、これのおかげで凄く助かったよ。 ガブリオには、何かお礼しないとね・・・あ。 勿論ガブリオ達が助けに来てくれたことにも、きちんと感謝してるよ!」 最後にそう付け足すエアが、とても彼女らしくて。 ガブリオは苦笑しながらそれに答えた。 「そんな、いいよ。キミにお礼を言わなきゃいけないのは、僕のほうなんだから。 あれぐらい、なんてことないさ。」 “でも・・・”と、エアがそれに多少渋った表情を見せる。 エアとガブリオが話しているとこうして、お互いの褒め合いに発展してしまうことが少なくない。 2人とも、褒められることに慣れていないせいだ。 これはこれで、本来ならいつものことと笑って済ませられる光景だった。 何かを勘違いしてしまっているアーノが 突然嬉々として、とんでもないことを言い出さなければ・・・・・・ 「ご主人さま、お礼といえばキスです!!」 「「え゛っ!?」」 アーノの声が、いつもより数段大きく聞こえて エアとガブリオは頬を赤く染めて、反射的にビクリと体を震わせた。 タタンは一瞬紅茶の入ったカップを取り落としそうになったが 寸でのところで堪え、ニヤニヤと怪しげに笑ってエアとガブリオを見つめた。 「あら、いい考えじゃない。」 「ちょ、ちょっとタタン!!からかわないでよ!」 ハッと我に返ったエアは、勢い余ってガタンとイスを転がして立ち上がり 何かを掻き消そうとするように、目の前でぶんぶんと両手を振った。 けれども、アーノのとても真剣な眼差しとタタンのニヤニヤ笑いは、そう簡単に消すことは出来ない。 面白がっているタタンはともかく、言ってもそこから 更なる勘違いをしてくれそうなアーノの説得はすぐさま諦めて エアはガブリオに、照れたような、困ったような苦笑いを見せた。 「ごめんね、ガブリオ。2人のいうことは気にし・・・・・・」 “気にしないで”そう言おうとしたエアだったが、その言葉を最後まで紡ぐことは叶わなかった。 ・・・エアの思考をストップさせる出来事が起きたからだ。 ちゅ。 「「!!」」 エアの頭の中は真っ白になり、まるで声を失くしてしまったように それ以上の言葉を発することが出来なくなった。それは、金縛りにあったのかと思うくらいに。 何か、暖かいものがエアの頬に触れて、離れた。アーノがじっとこちらを見ていて・・・ “ちょっと、よく見えないじゃない”なんて、タタンが不満そうに叫ぶ声も エアが理解をする前に、右耳から入って左耳に抜けてゆく。 ・・・気が付くと、すぐ近くに見慣れたガブリオの顔があった。 彼は少し照れたような笑みを浮かべて ぼんやりと虚ろな瞳をしているエアを見ると、こういった。 「・・・僕としては嬉しいんだけど・・・やっぱりエアはこういうの、免疫なかったかな?」 凍りついたように動かなくなってしまったエアを見つめて 寸前まで出かかった、“これでも、我慢したんだけど・・・”という言葉を “リョウガに先に手を出されていなかったみたいで、よかった”という想いと共に ガブリオはどうにかこうにか飲み込んだ。 「エア・・・?」 一向に意識の戻る気配のないエアの顔を、ガブリオが覗き込んだ。 するとエアは直立した体勢のまま、ぐらりと後ろによろめき、床に倒れこみそうになる。 慌てたガブリオが、どうにか頭を叩き付ける前に、エアの体を抱きとめた。 「エア!?大丈夫!?」 「ちょっ・・・それぐらいで!しっかりしてよ、エア!!」 (それくらいってタタンさん・・・!/笑) 「ご主人さま!!」 さすがにこれにはタタンも慌てて、駆け寄るとエアの肩をがくがく揺さぶった。 自分が原因とはいえ、ガブリオも少々焦った様子でそれを見守る。 ・・・そこへちょうど、ギィと扉の開く音がして、オルカが戻ってきた。 「ただいまー!・・・って、おいエア!?なんだ?どうした!?まさか・・・!?」 目の前に広がっている光景に、オルカは声を荒げた。 なにしろエアが倒れていて、それをタタンがおもいっきり揺さぶっている。 もしかしたら、これは最悪の事態なのかもしれない・・・!! (↑つまり、タタンのお菓子を食べてエアが瀕死なのではないかといいたい。) すると、事の成り行きを心配しているんだか、していないんだか良くわからない様子で 静観していたアーノが、とことこと歩いてきて、一生懸命に現状を説明し始めた。 「ガブリオさんがご主人様にお礼をしたです! そしたら、ご主人様ポワーってなって、バッターンなんです!」 「そ、そうなのか・・・?」 アーノの説明に、一先ず大したことはなさそうだと判断し けれど、不思議そうに首を傾げるオルカの姿がそこにはあったとか。 ・・・後にタタンは、こう語る。 『リョウガさんとリンリさんがいたら、もっと面白くなりそうだったのに。』 |
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戯言。 あははははー・・・(もう笑うしかない)・・・はぁ、すみません。 調子に乗って書いてはみたものの、なんだか色々反省させられる作品になりました。 エア!?大丈夫!?・・・ってガブリオ、アンタのせいですよ。 自分で書いておきながら、すごくツッコミ入れたかったです。ええ、本当に。 えとですね、今回のテーマ。それは・・・ガブリオにエアを攻めさせてみよう!! なんて無謀!なんて愚か!!そしてなんなのこの中途半端な出来! いえね、とあるサイトさんで、ガブリオは果たして攻められるのかという話を小耳に挟みまして。 (勿論エア相手でですよ?エッジとだったらどうなのって話じゃないです・笑) まぁねー、確かにねぇ・・・と納得もしてしまうんですよ。 そうじゃないですか、ゲーム中のガブリオは発言際どいけど一応紳士だもん。(一応って) で・す・が!!! 任那の中では、ガブリオは結構やるときゃ だって黒の剣士!!はいみなさん!テキスト4頁開いて!! (ここでいうテキストとは予約特典のオフィシャルビジュアルブックのことです) ポスター右端の黒の剣士の顔みてください。 ほら、ニヤリって・・・!!!すんごくニヤリって!!絶対なんか企んでるよ!?(落ち着け) はい!ここで左のガブリオと見比べてみましょう!キャラ違いすぎませんか!? ほぅら、攻めだ(笑) ・・・すみません、今自分がよくわかりません(悩) きっとガブエア語りの捌け口を探してるんだと思いまふ。 ともかく、それで攻め(気味)ガブリオに挑戦してみたわけです。ごめんなさい、偽者で。 本物の彼はこんなことしないでしょう。でも載せてしまいます(笑) けれど、黒の剣士との最終バトル前の会話って 結構エアの痛いところをチクチク突いて来ると思うんですよね。 きっとエアがうぅ・・・ってなったら、ダークサイド(何処)に引き込むつもりだったんだよ!! ・・・うん、ガブリオは攻めになれる。いけるよ。案外彼はSかもしれ・・・(規制) ・・・あ、ちなみに通信機は、結局そのままアーノが持っていると思われます(苦笑) というかタタンってリョウガのことさん付けだった・・・っけ?(汗) |
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2004/09/13