ぎゅ。










< Ver.Air >




ガブリオは、よくあたしをぎゅってする。
でも、いきなり後ろから抱き締めるのは心臓に悪いから止めて欲しいよね。
びっくりするじゃない、思わず叫ぶところだった。

・・・すぐにガブリオだってわかったから良かったけど。
だから、どうしてそんなに抱き締めるのがすきなの?って聞いてみた。




「エアはいいニオイがするから。」




・・・う〜ん、自分じゃわからないんだけどなぁ。でもガブリオは、会ってすぐからそう言ってた。
あたしが来るのが、ニオイでわかるんだって。・・・でも、ちょっと心配になる。




「いいニオイだと、抱き締めたくなるの?」




いいニオイがしたら、あたしじゃなくてもぎゅってしたくなるのかなぁ?




「うーん・・・例えば、干してふかふかになった、お日様のニオイがする布団みたいな感じかな?」

「あ、それはわかるよ!天気のいい日に干すと、ふかふかになっていいニオイがするよね!」

「うん。そうすると、ぎゅってしたくならない?そんな感じだよ。」

「そっかぁ・・・なるほど。・・・ってことは、あたしって布団!?」

「あはは、そうかも。」

「むむっ!・・・でも、まぁいっか。ガブリオの布団になるのも、悪くないかもしれないし。
ガブリオに抱き締められてると、気持ちいいし、安心できるもんね。」




そう言ったら、ガブリオが黙りこんじゃった。あれ?・・・あたし、何か変な事言ったかな?




「・・・ガブリオ?」

「あ、ううん!な、なんでもないよ、エア。」




そう言って笑って見せてから。今度ガブリオはゆっくりと、あたしに両手を広げて見せた。




「エア。」




そうして、あたしの名前を優しく呼んで・・・・・・知ってる。これはガブリオのおいでって言う合図。
あたしがポスンとその胸に飛び込むと、ガブリオの両腕がきゅっとあたしの体を抱き締めた。




「ガブリオって本当に、抱き締めるのが好きなんだね。」




苦笑しながらそう呟いたら、ガブリオの耳がピクピク動いて、少しくすぐったかった。




「・・・うん、そうだね。」




これじゃあ、あの2人のこと言えないかも。




今も、常夏の海洞窟で仲良く暮らしているだろう
ザーネとビヨーンを思い浮かべて、エアはこっそりと。もう1度苦笑を漏らした。















< Ver.Gabrio >



僕はよくエアを抱き締める。
エアのニオイがしたから、急いで森から砦に戻ってきて。
僕を探しているエアの姿を見つけたら、思わず抱き締めたくなって抱き締めた。
そうしたら、エアは一瞬ビクっとしたけれど、
すぐに僕だとわかったらしくて、力を抜いてされるがままになる。



・・・・・・可愛い。



そんなことを思っていたら、腕に閉じ込めたエアがもごもごと動いて、少し困ったように僕を見上げた。




「ガブリオは、どうしてそんなに抱き締めるのがすきなの?」




――――――――― ・・・キミが大好きだからだよ。




でも、僕の想っていること全部を打ち明けるには、エアはまだ随分と幼くて。
仮面を被ってキミに敵対していたあのときのように、
また傷つけてしまうかもしれないから・・・だから、まだ秘密。
キミにふさわしい僕になるまで、抱き締めるだけで、我慢する。
エアがいいニオイだからだよって答えたら、彼女は少し難しそうな顔をしていた。




「いいニオイだと、抱き締めたくなるの?」




・・・それも、間違いじゃないんだけど。
抱き締めたいのは、エアだからだよ。僕はちょっと、苦笑した。




「うーん・・・例えば、干してふかふかになった、お日様のニオイがする布団みたいな感じかな?」

「あ、それはわかるよ!天気のいい日に干すと、ふかふかになっていいニオイがするよね!」

「うん。そうすると、ぎゅってしたくならない?そんな感じだよ。」

「そっかぁ・・・なるほど。・・・ってことは、あたしって布団!?」

「あはは、そうかも。」

「むむっ!・・・でも、まぁいっか。ガブリオの布団になるのも、悪くないかもしれないし。
ガブリオに抱き締められてると、気持ちいいし、安心できるもんね。」

――――――――――――― ・・・!!」




―――――――――― ・・・それって、自惚れてもいいのかな?
そんなことを言われたら、これでも必死に我慢しているのに。
・・・ただでさえ堪え性のない僕は、キミを抱き締めるだけじゃ済まないかもしれないよ。
僕はキミが思っているほど、良い人じゃないから。
・・・そう告げても、キミは同じことを言うのだろうか。




「・・・ガブリオ?」

「あ、ううん!な、なんでもないよ、エア。」




いつのまにかぼーっとしていたらしい、エアが心配そうに、
黙りこくってしまった僕の顔を覗き込んでいた。
こんな僕の側に、それでもキミがいてくれることが嬉しくて・・・僕はエアを呼ぶ。




「エア。」




それだけで彼女には、僕が何をしたいのか伝わるらしい。
エアの体は、僕の腕にすっぽりと納まった。
・・・僕の腕で覆えてしまうくらい、小さくて、細いエアの体。
この細い身体のどこに、魔刃使いの力なんて宿していたんだろう?
いつもいつも、僕たちを護ろうとしてくれていたエア。
そんな彼女を。今度は僕が護ってあげたいと思ったから、強く強く抱き締めた。
こうしてエアを抱き締める度。エアの側にいたい、その気持ちが強くなる。




「ガブリオって本当に、抱き締めるのが好きなんだね。」




本当は、抱き締めるのがじゃなくて、キミだからなんだけど・・・。
今はまだ、それでいいんだ。




「・・・うん、そうだね。」






・・・キミのことが、好きだよ。






いつか、胸を張ってそういえる日が来るまで。
大事な言葉は、自分の中にだけしまっておこう。
折角、あのリョウガから奪い取ったのだから。ゆっくり、ゆっくりでいい。
・・・そう、ガブリオは思った。











戯言。


ぐっはーーーーっ!?・・・うぅ、なんだか死にそうです。
甘いんだかおかしいんだかなんなんだか。良くわからない代物が出来上がりました。
そんなこんなでクラフトソード2、初SSです。
実は書いたのは2回目ですが(笑)もう1つの方はガブリオがちょっと変なので、そのうち(笑)
それにしてもガブリオって何歳なんですか?エアより年上希望なんですが・・・。
考え方というか、意見がエアより長く生きてきた感じがしますから(笑)

エアは天然で、ちょっと誤解を招きそうなセリフをさらっと言ってくれちゃいますが
ガブリオもこう・・・ちょっと。際どいセリフを吐くと思います。ほら、エアがいいニオイだとか・・・!!
彼は結構どす黒い人だと思うのですが・・・どうでしょうか?
黒の剣士のときの彼は、思うことを思うままに口にしている感じです。理性オフ、みたいな(笑)
だって一人称も変わりますし、普段の彼からは考えられない気性ですよ。
普段言いたいこと全部言わないで、黙っていて溜め込んでるのかなと思います。

・・・ちなみに任那は、あのしっぽでガブリオが黒の剣士だと予測して
レキからガブリオに転向したクチです(爆笑)当初から色々チェックいれてました。
口調とか、言動とか、どうやってエアの後付いて行ってるのかとか、どこで着替えてるのかとか!(阿呆)
敵同士万歳。・・・そういう意味では、リョウエアも万歳です(笑)





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2004/08/30