・・・ドアの向こうで、誰かが話す声がする ドアを開ける音がして、足音がの方に近づいてくる。 食べ物のいい匂いがしてきて・・・ リプレ? もう朝なの・・・?まだ、寝ていたいよ・・・ そう思って、まだ去ろうとはしない睡魔に、もう一度身を委ねようして・・・ 『ーーーーーーーーーーーーッッ!!』 最後に聞いた、の叫び声が蘇った。 が、を必死に呼ぶ声。 「・・・ッッ!!」 一気に意識が覚醒して、は勢いよく飛び起きた。 ガバッ!! 「・・・??」 起きた途端、の体は違和感を訴える。 部屋の壁。手に触れる、布の感触。・・・見るとそれは毛布で。 はベッドに寝かされていた。 ・・・あ、あれ??どうなっているのですか?? 確かに自分はあの時、光に飲み込まれたはずで・・・ なのに普通にベッドに寝ている。 けれど部屋の壁といい、この毛布の触り心地といい フラットのものよりずっと高価な物なのですよッッ!?(汗) いや、なんか違うだろ やっぱりここは、自分がいた場所じゃない(酷)・・・ということは・・・ 「どうしようなのですどうしようなのです!!UFOに拉致られてしまったのですッッ!? はわわわわわわッッ!!きっと今にリトルグレイが出てきたりして 研究対象にされてなにやら怪しい装置を首ねっこに埋め込まれてしまうのですねーーッッ!? そしてはそのまま地上に返され・・・・・・!! ・・・あ。でももしそうだったら、帰れるのですねぇ・・・・・・・・・って違うのですよーーーーーーーッッ!?」 マイガーーーーッッ!!?? 「え、えっとその・・・大丈夫?」 ・・・・・・・ん? 今声がしませんでしたかねぇ・・・? 頭を抱えてブンブンと振っていたはハッとして そおーっと声のした方を向いて見た。 「や、やっほー?」 そこで、少し困ったようにに手を振っている、紫色の髪を肩より上くらいで切った 小柄な(よりもちっちゃいのですよ・・・)女の子を見つけた。 ・・・たっぷり考えること5秒 「・・・どちら様ですか?」 は多分場違いだろう(寧ろ言いたいのは向の方だ)言葉を口にした。 〓 第2話 始まりは、二重誓約 〓 「まさか・・・いまどきの宇宙人はこんな姿をしているのでッッ!?」 いや、だから宇宙人じゃないって。 「あ、あのー・・・あたし、宇宙人なんかじゃないよ?」 すると少女は更に困ったようにそう告げて。は首を傾げると 「じゃあ誰なのですか?」 「それはこっちが聞きたいんだが?」 ふと聞こえてきた少女のものとは違う、低い声に、視線をドアの方へ向ける。 するとそこに立っていたのは・・・ 逆光眼鏡。 「はわーーーーッ!?目からビームで殺られるですよーーーッ!?(汗)」 殺られる前に殺れ。 byトウヤ コラマテ。 そんなトウヤの家訓(?)を思い出したは 手近にあった枕をむんずと掴み、放り投げるッッ!! 「とおりゃーーーッッ!」 「あ、違うの!あれは・・・!!」 少女の制止の声も聞かず(聞いてやれ。)・・・投球っっ!! ・・・かくして、の素晴らしいコントロールは 具合が悪いことにちょーどその眼鏡を直撃し、床に落下させたのでした。 「はわわわッ!?ご、ごめんなさいですッ! 驚くと考えるよりも先になんかしでかす性格なのですよー!」 きちんと見てみれば、立っていたのは 目が光るリトルグレイでも、目からビームの恐ろしいモンスターでもなく。 ちょこーっと血色が悪くて目付きの悪い(十分言い方が悪い。) 普通の男の人で。 いや〜しかし、高価な眼鏡にキズが付かなかったのは幸いだったのですよv 問題はそこなのか? 「あはは!俺もぅびっくりしたよ!部屋に入ろうとしたら、ネスが枕ぶつけられてるんだから!」 「お、お恥ずかしいのです・・・(汗)」 「君はいつまで笑っている気なんだ?」 今笑っているのはマグナさん。一番最初に来たトリスさんの双子のお兄さんなのだそうです。 そしてがマクラを投げつけてそこはかとなーく・・・いや、かなり。 ご立腹なのがネスティさんというらしいのです。 「だってネスがいけないのよ。さんがパニックになってるの 解りきってるのに怖い声出すから・・・」 それでもって逆光の位置に立つから・・・(溜息) 「そうそう。この食事、さんの分だから。」 ひとしきり笑った後、そう言ってマグナさんがに差し出してくれたのは パンにスープとサラダといった、簡単な食事。 あ、さっきのご飯の匂いはこれだったのですね。 「お腹、空いてない?」 「・・・そういえば空いているのです・・・」 そう答えて、ひとまずはご飯にありついたのでした。 「ごめんな?派閥の食堂のご飯だから、そんなおいしくはないと思うけどさ。」 そういうマグナさんに、そんなことないと首を横に振って ・・・いや、本音を言えばリプレのご飯の方がずっとおいしいのですが・・・ と、とにかく!気になる言葉があったので、聞いてみることにしたのです。 「・・・はばつ???」 聞き返すと、今までずっと黙っていたネスティさんが 待ってましたとばかりに口を開いた。 「・・・丁度いい、食べながらでいいから聞いてくれ。」 ま、まさかこの人キールと同じで理論型人間!? いやー!ご飯の後にお話聞くと眠くなるのですーーッ!!(違) 途端、マグナさんとトリスさんが気まずそうな表情になる。 はスープを啜りながら、ネスティさんに(仕方無しに)頷いてみせた。 「まず・・・派閥というのは召喚師の集団、青の派閥のことだ。」 ・・・・・・召喚師?? 「・・・もへ?・・・ってことはまさか・・・」 「うん。あたし達、召喚師なの。」 『外道召喚師とか、バイヤーに捕まったら最後だからね。 あまり言ってまわるんじゃないよ?でないと研究材料にされちゃうかもしれないからね?』 「みぎゃーーッッ!! お願い、止めて食べないでーーッ!? はおいしくなんてないのですよーーッ!? ましてや実験材料になんか しないでくださーーいッッ!!??」 「さん!?お、落ち着いて!!」 「そうだよ!俺達食べたりなんてしないし、絶対に実験材料になんてしないからッ!!(焦)」 「なんなんだ彼女はッ!?」 ネスティの最もなツッコミが、宙を舞った。 それにしてもどこかでみた風景だね・・・マグナ(汗) ・・・うん。そうだなトリス。 潜った毛布の隙間から、こっそり目だけを覗かせて はビクビクと体を震わせた。 勿論ご飯はもったいないので、きちんと傍にあったテーブルに非難させておいたが。 (そのへんはフラットできっちり仕込まれたようだ。) 「ほ、本当なのですか・・・?」 「「本当本当!」」 「・・・絶対に・・・?」 「「うん!絶対だから!!」」 トリスとマグナが6回くらい大きく頷いてから、やっとは毛布の中から這い出してきた。 「絶対なのですよ?約束なのです。」 まぁでも・・・ご飯くれる人に悪い人はいないのですよね? うわ、めっちゃ騙されやすッ!? 念を押すようにが言うと、マグナとトリスはそれにまた大きく頷いた。 「・・・ということは、君はやっぱり召喚獣なんだな? しかし一体何処の世界の・・・・・・」 ぎくり。 速攻それを聞くのですかッ!?この人はッ!?(冷や汗) けれど丁度その時、なんだか廊下の方からカサカサと音がして・・・きつね?うさぎ? ともかく、動物の耳を頭に生やした女の子が、ひょっこり顔を出した。 「・・・お兄ちゃん、お姉ちゃん・・・もう、ハサハ・・・入っても、いい?」 「あ、もういいわよ。みんな入っておいで。」 ・・・みんな? すると出てくる出てくる。 一人はさっきも言った動物の耳を生やした、やたらおっとりトークの女の子。 (よく見たらしっぽも生えていた。) もう一人はいかにも“サプレスです”って感じの、悪魔の羽根の付いた男の子。 (なんだか服が凄かった。) それから、多分これがソルの言ってた、ロレイラルの機械兵士さん。 (固そうだけど、みつあみがリプレを彷彿とさせた。) そして未だ部屋に入ってこないで、入り口の辺りでビクビクしているのが・・・ 多分、男の子ですよね? 折れてはいますけど、角からしてエルカと同じメイトルパのメトラル族の子でしょうか? それにしても、同じ種族でも随分性格が違うのですね・・・ (・・・なんとなく、自分を垣間見たような気がした。) 総計4人(?)もの召喚獣がぞろぞろと部屋に入ってきて。 そんなに入るには、ちょっと部屋が狭いんじゃないかってくらいだ。 「みんな、この人はさんって言うんだって。」 トリスさんはそうやってを紹介すると、少し照れ臭そうにに向き直った。 「・・・紹介するね、この子達があたし達の護衛獣なの。 あたしの護衛獣は、まず生意気そうな、サプレスから来たバルレルでしょ? それから、そっちで隠れてるのがメイトルパから来たレシィ。」 「俺の護衛獣はシルターンから来たハサハと こっちのロレイラルから来た機械兵士のレオルド!かっこいいだろ!?」 「・・・・・・。(睨)」 「は、初めまして。僕レシィです。・・・あ、あの・・・いじめないで下さいね?」 「・・・ハサハは・・・ハサハって言うの・・・。よろしく・・・ね?」 「れおるどト申シマス。」 じゃーん!と明るく紹介する主人とは対象に、とても個性派揃いの護衛獣たち。 っていうか、一人に睨まれてるのです(汗) 小さい子供の割りにあまりに鋭い眼光。 思わずがビクビクと警戒していると、それに気付いたらしいトリスが。バルレルの頭をゴツンと殴った。 ドゴッ! (え?) 「いてぇ!!なにすんだ、ニンゲン!!」 「こら!睨んじゃ駄目でしょ?さんが怖がってるじゃない!」 あの怖いお子様バルレルを、平気で殴りつけるトリスを見て(しかも音が鈍い) が呆けていると、マグナが苦笑しながらの肩を叩いた。 「あれはいつものことだから、気にしなくていいよ? あれが二人のコミュニケーションなんだ。」 「ほへぇ・・・激しいボディランゲージなのですねぇ。(うちにも似たようなのがいますけど。)」 「ぼでぃらんげーじ?」 「体で言いたいことを表現する・・・ってところでしょうかね?厳密に言うと、 きっと違うですけど。そんな意味なのです。」 「ふーん?」 だいぶ落ち着いて、がのほほんとしていると 背後からコホン、とわざとらしい咳払いが聞こえてきて 「話を元に戻してもいいか?」 ・・・と、眉間に皺をたくさん刻んだネスティが、を見下ろしていた。 「う゛・・・」 「それで、君は何処から来たんだ?」 話、戻していいって言ってないですのに。 は内心そんな不満を零したが ネスティはこちらの事情など考えてくれそうにない。 さてさて・・・どうしたもんですかねー(汗) 「どうした?・・・答えられないのか?」 ネスティの顔が一段と険しくなる。 セリフの後半が、ヤケに怪しんでいるように聞こえたのは気のせいか・・・ いや、気のせいではないだろう。 こんちくしょーめ、このインテリ。(口悪ッ!) ここで怪しまれてはいけないと、は必死に口を開いた。 「のおうちは、サイジェントにあるのです・・・!」 待てよ。 そこでの思考回路は、ある一点に辿り付いた。 知らない場所にいたり、逆光眼鏡があったり、召喚師がいたりですっかり抜け落ちていたが 何故自分はここにいるのか?そしてここどこ? 今更だな。(本当に。) 「ってええーーーーーッ!!忘れてたですけどなんでこんなとこにいるのですかーーッ!? ピカーって光でフワフワ浮いてた筈なのにッ!(意味不明) そしてここは何処なのですかーーーーッ!!」 急に叫びだしたを見て、レシィとハサハがびくっと反応し バルレルは目を丸くしてを見ていた。 レオルドなんかに至っては脈拍上昇とかなんとかのたまわっている。(酷) 「わ!さん落ち着いて!ハサハとレシィがびっくりしてるよ!」 ピク。 「・・・あ。ごめんなさいなのですよ。」 ペコリ。 流石に小さい子を怖がらせてはいけないと思ったのか、今回の暴走はあっさりと終結した。 「それでネスティさん!ここは何処なのですかッ!? 、おうちに帰れるのでッ!?」 「・・・ここは聖王国の首都、ゼラムだ。」 「聖王国の首都・・・名前だけは聞いたことがあるのです。 ・・・ってことはここは間違いなくリィンバウムなのですから、サイジェントには帰れるのですよね?」 「・・・・・・。」 「ね?」 が笑顔で迫ると、ネスティは気まずそうに視線を逸らし・・・ 「・・・確かにサイジェントに帰れない・・・と言う事はない。だが・・・」 「「「だが・・・?」」」 「なんで君達まで聞くんだ?」 「だってあたし達、サイジェントってどこにあるのか知らないし。」 「なあ?」 「君達は、もう少し勉強しろッ!! サイジェントと言えばキルカの織物の有名な産地じゃないか!」 お互いの顔を見合わせるトリスとマグナに ネスティはひとしきり叫んでから、咳払いをして喉の調子を整え、再度口を開いた。 「とてつもなく遠い。帰るにも船で行くしか手段は無いし、 遠い分料金もかかる。・・・少なくとも、今の僕達では到底どうにもならない程の金額だ。」 「ひょええええええええええええッッ!?」 一際大きな声でが叫ぶ。 そして、ネスティが言いたいだろう、自分にとってはいいことではない結論を再確認した。 「じゃ、じゃあ・・・帰れないってことなのですか・・・?」 「・・・今すぐには、な。」 「そんなぁ・・・。はぁああうう〜・・・」 思わず床に座りこんでしまったを トリスとマグナが両側から励ますように取り囲んだ。 ・・・実際励ましなのだが。 「だいじょうぶだよ!さん!一生帰れないってわけじゃないんだから!!」 「そうだよ!!俺達が、いつか絶対帰してあげるって!!」 「・・・二人とも・・・」 にとって、そう言ってくれる二人は本当に頼もしくて つい涙ぐみそうになってしまった。 「ありがとうなのですよ・・・」 「いや、君が彼等に礼を言う事はない。」 感動するような場面に水を差したのは、ネスティ。 その一言に目に見えて、トリスとマグナがビクリと体を震わせた。 「・・・そこにいる二人が、君を喚んだんだからな。責任を取るのは当たり前だろう。」 「・・・・・・(汗)」 「・・・・・・あはv」 気まずそうに視線を逸らすマグナと、取り敢えず笑って誤魔化すトリス。 「なんですとぉーーーーーーーーーーーッ!?」 その後二人にされた説明は、にとって、大変衝撃的なものだった。 「・・・じゃあですね。つまり、は二人の卒業試験のときに 護衛獣のみんなに混ざって召喚されてしまったと?こういうことなのですか?」 「「うん。」」 しかも無属性のサモナイト石で? うん。 「あれは召喚術の光だったのですね・・・」 思い出す。 自分がリィンバウムに呼び出されてしまった日の事。 ・・・そういえば、あの時と同じような光だった気がする。 もう随分前のことのように思えて、すっかり忘れてしまっていたけれど。 「「ごめんなさい。」」 ステレオで聞こえてくる謝罪の声に、はハッとした。 物思いにふけっていたのだが、どうやら落ち込んでいるのだと勘違いされてしまったらしい。 それは本当に申し訳無さそうな声で、謝られているこっちが申し訳なくなってくるほど。 「・・・大丈夫なのですよ。」 「え?だって・・・」 驚いたように上目遣いでこちらを見る二人に は笑って見せた。 「大丈夫なのです。さっき二人が言った通り、帰れないわけじゃないですから。」 「でも・・・!!」 「いろんな所を見てみるのも、良い社会勉強になるのです。 、サイジェントから出たことなかったですから。 それにもしかしたら、お家の人が探しに来てくれるかもしれないですし・・・ それまでは、マグナさんとトリスさんにお世話になるのですよ。」 「・・・さん・・・」 「君達にも見習わせたい精神だな。」 「・・・う゛。(汗)」 「・・・というわけで、これからよろしくお願いするのですよ。 トリスさん、マグナさん。」 「さん、そんなに畏まらなくていいよ!あたし達のこと、呼び捨てにしていいから! ・・・そしたら・・・あたし達もって呼べるし・・・」 その方があたし達も楽だから。 その提案に、が心から感謝していると・・・ クイッ・・・ 誰かが下の方で、の服を引っ張る感覚がした。 「はぇ?」 ふと視線を落とすと、ハサハが何か言いたそうにを見上げている。 なんとなくラミを思い出して、は根気よく、ハサハが口を開くまで待った。 「・・・ハサハも・・・ハサハでいい、よ?」 か、可愛いのですッ!! は衝動に任せてハサハを抱きしめると そのぷにぷにボディならぬ、ぷにぷにホッペに頬擦りをした。 ・・・あぁ、ガウムみたいなのです〜・・・(違。) 「くすぐったいよ・・・・・・お姉ちゃん・・・」 「ほにゃあ〜、本当に可愛いのですねぇ・・・」 癒されるのですよ・・・(悦) 「だろ!?だろッ!?やっぱりもそう思う!?」 がうっとりとしてそう言うと、後ろからマグナがとてつもなく嬉しそうにそう言ってくる。 はそれに激しく同意してから、腕の力を緩めて、ハサハの頭をゆっくりと撫でる。 耳がちょっとだけ垂れて、なんだかとても可愛らしい。 嬉しそうに笑うハサハを見て、もつられて笑顔になる。 「・・・じゃあみんなのこと、これからは名前で呼ぶのです。 その方が仲良くなれそうですし・・・」 一名、嫌そうに『ゲッ!』と漏らしたじゃりんこがいたがそれは無視し、(酷。) はゆっくりと振り返り。 それから捨て猫よろしくな上目遣いで、後ろにいたネスティを見上げた。 なにやら嫌な予感がしたらしく、一歩後退るネスティ。 なんとなく。なんとなーくだが、弟妹弟子のお願い攻撃に似ていたのだ! 「な、なんだ?」 「ネスティさんも・・・ネスティって呼んでいいですか・・・?」 「ぼ、僕は・・・!!」 反論しようとしたネスティだったが、の背後でと同じように、捨て犬よろしく! ・・・の瞳でこちらを見ている弟妹弟子と目が合ってしまった。 き、君達はグルかッ!? そう内心叫ぶネスティ。 しかし、そんなふうに思ってみても、3人のお願いの瞳が逸らされることは無かった。 ねぇ?ねぇ、いいよね?ネス? お願いだよ・・・ネス・・・ 『『いいよね?』』 (にっこりv) これには流石のネスティも抗えず。 ・・・渋々OKを出したのだった。 「・・・それで、君がサイジェントに住んでいたことはわかった。 他の4つの世界から、トリスとマグナによって召喚されたのなら、 リィンバウムの地名を知っている確率は低いからな。 ・・・まぁ、以前にも召喚されたという可能性もあるが、わざわざ嘘を吐いて サイジェントに住んでいると言い張る理由も見つからない。」 ・・・とっことん疑り深い方なのですねーーー。 と、は妙なところで感心したりもした。 「――――――――――――― ・・・だが。」 ギク。 「それなら君はサイジェントから召喚されたということになる。 ・・・召喚術で召喚されるのは、召喚獣だけ・・・」 「――――――――――――――― ・・・君はどこの世界の住人だ?」 「あ、あう・・・は・・・」 どうしようどうしようどうしようなのですよ!? なんと言い逃れをするべきか? 自分はのように嘘を吐くのはうまくないし・・・ ―――――――――――― ・・・嘘? そのときの脳裏に、いつだかとトウヤとした会話が蘇った。 『知ってるかい?バレづらい嘘を吐く方法。』 『ほぇ?そんなのあるのですか?トウヤ。』 『ああ。』 『・・・知らないのです。は知ってますか?』 『―――――――――― ・・・確か・・・いくつかの真実を混ぜて話す・・・でしたよね、会長?』 『うん。さすが、良く知ってるね、。』 『それはそうなのですよ!嘘を吐くのはの得意分野なのです!』 『失礼な。は嘘は吐かないよ。』 『じゃあ、がいつもやってるのはなんなのですか?』 『は―――――――――― ・・・』 『全ては話さないだけだよ。』 これなのですッ!! 嘘を吐くのは心苦しい。 けれど本当のことを告げるには、まだ怖くて・・・ ――――――――――― ・・・例えそれが、自分に対する免罪符でしかなくっても。 「は・・・実は“はぐれ”なのです・・・」 「「「はぐれ!?」」」 3人の驚く声が、出来るだけ表情を見せまいと俯いているの耳にも届いた。 それには、コクンと頷いてみせる。 「・・・はぐれだと言うと・・・それを良く思わない人達もいるので あまり言わないようにしていたのですが・・・」 の言い分に、3人は納得したようで。少し、哀しそうに顔を伏せた。 「―――――――――――― ・・・確かに。未だ召喚獣を・・・特にはぐれ召喚獣となったものを 卑下したり、道具としてしか見ない輩も多くいることは事実だ・・・」 「・・・うん。」 ネスティの言葉にトリスが頷く。 それは“迫害”という大きな問題。 傲慢な人間達の、自分達が一番優れている種族だと言う思い込みから来るもの。 けれどが見たトリスの横顔は、どこかそれだけを悲しんでいるのではなくて・・・ 何か別のことも、思い出しているように、には思えた。 「・・・あ、その・・・ごめんな?」 「ほえ?」 マグナの突然の謝罪に、はつい間抜けな声を出してしまった。 確か、先程自分を呼び出してしまったことについては、決着がついたはずで。 は一体、マグナが何に対して謝っているのかが解らない。 「・・・さっき・・・俺達が召喚師だって言ったとき、怖がってただろ? きっと・・・今まで色々と嫌な目にもあってきたんだよな?」 ――――――――――――― ・・・あ。 「それに・・・結局は俺達召喚師が、そもそもの原因ではあるし・・・ だから、ごめんな?。」 「・・・マグナ・・・」 彼の名前を呟いたのは、ネスティだったかトリスだったか・・・? そう言って気遣わしげに頭を下げるマグナの姿を見て ・・・思わず、涙腺が緩んだ。 あぁ、この人達は本当にいい人達なんだ・・・ 「・・・!?」 突然泣き出したを見て、マグナが動揺した声をあげる。 「ちょっとマグナ!!、泣いちゃったじゃない!どうするのよッ!!」 「ど、どうするって言われても・・・どうしよう!?ネス!!」 「僕が知るか。」 「・・・お姉ちゃん・・・泣かないで?」 そっと寄せられた、ハサハの小さな、でも温かい手にハッとして 顔をあげるとそこには、心配そうに自分を見ている顔がたくさんあって・・・ 「あ、ごめんなさいなのです・・・違うのですよ、マグナ。は大丈夫なのです。」 涙を指で拭って、はこれ以上心配させないように、一生懸命笑顔を見せた。 「は・・・とてもいい人達に見つけて貰ったから平気なのです。 でも、そんなふうな目にあったはぐれのお友達が、いっぱいいて・・・」 それからはポツポツと、身の上話を始めた。 リィンバウムに召喚されたときのこと とても理解のある、優しい人達に拾われたこと たくさんいるお友達のこと ・・・それから・・・召喚される前の記憶がないこと。 「だから自分が以前はどこに住んでいて、何をしていたのか・・・ どんな人間だったのか、は知らないのです・・・」 「・・・なるほど。しかし、これで決まったな・・・」 の言い分にひとまず納得したのか。 必要以上に追求しなくなったネスティが、なにやら考え込んでいた。 「え?ネス、なにが決まったの?」 トリスがきょとんとした顔でネスティに尋ねる。 「彼女が何者だかわからなかったから、軽率な判断は下せなかったが・・・ どうやら彼女は、君達に二重誓約されてしまったようだ。」 「「「二重誓約??」」」 なにそれ?の顔が3つ並んだことに、ネスティはこっそり溜息を吐いた。 はともかく、仮にも自分の弟妹弟子は召喚師なのだ。 本来なら知っているべきじゃなかろうか・・・?(汗) 「二重誓約と言うのは、召喚主と正式に誓約していない。あるいは誓約の力が弱っているか 召喚主を上回る、強大な魔力を持った別の人物に召喚を行われた場合に起きる現象で、 前者は主に、はぐれだった召喚獣を他の誰かが見つけた場合だな。」 「噛み砕いて言うと。ちゃんと誓約してないか、 もっと魔力の強い人んとこにだったら喚ばれていっちゃうってことなのですね?」 「・・・そういうことになるな。」 ふむ・・・と考え込む。 その胸元に、紫色の石が首から下げられているのが見えた。 服の内側に入っていたものが、たまたま出てきたらしい。 よく見慣れたその石に、ネスティの視線が釘付けになる。 「――――――――――――― ・・・それはサモナイト石!?」 ネスティの声にはハッとして、自分がしているサモナイト石のペンダントに目を向けた。 それはバノッサに貰ったもので・・・ 「どうして君がそれをッ!?それは―――――――――――― ・・・!!」 「わッ!わあーーーーーーーーーーーーーーーッ!? ネスティ待ってなのですーーーッ!!」 の大声に目を丸くしたネスティは、言葉に詰まる。 「駄目なのです、言っちゃ駄目なのですよッ!! 中にどんな子がいるのか言ってはいけないのですッ!!!」 がぜーぜーと息をしていると 何のことだかさっぱりわからなかったらしいマグナとトリスが やっとのペンダントに気がついた。 「あ、サモナイト石だー。」 「本当だ。これ、サプレスのだな。、どんな召喚獣が入ってるんだ?」 ほえほえと笑ってを見ている二人の頭上に、何かがきらめく。 ゴスッ! 「君達は召喚師だろう?なんでわからないんだ・・・?(怒)」 「い、いててて・・・何するんだよッ!ネス!」 「そんなこと言われたって、わからないものはわからないんだからしょうがないでしょ!? ・・・いったぁー・・・あ、マグナここたんこぶになってる。」 「嘘ッ!?・・・あーぁ、折角一週間前のたんこぶが消えたのになぁ・・・」 ネスティ力籠め過ぎッ!?(汗) 「・・・で、なにがこれで喚べるんだよ?ネス。」 「マグナ!それは聞いちゃいけないのです!・・・ってか聞いてもいいですけど のいないところにしてなのですよ!」 「・・・??も、なにが喚べるのか、わからないの?」 トリスが首を傾げる。 その横には、こんなのが召喚主かと落ち込んでいるバルレルがいたり。 「・・・はい。これは・・・知り合いに貰ったのです。この石の中に誰がいるか 自力でわかって喚びだすことが出来たら、お友達だって言っても怒らないって約束してくれたのですよー。」 ・・・どんな知り合い!? にっこりと笑うに、3人がそうツッコミかけたのも無理はない。 「・・・ともかく。・・・。」 心なしか頬を赤くして・・・多分照れているんだろう。 ネスティが初めての名前を呼んだ。 「はい?なんなのですか?ネスティ。」 それが嬉しくて、は緩む表情を抑えきれずに返事をした。 そんなを見て、トリス以外には耐性のあまり無いネスティが もっと顔を赤くしたのは言うまでもない。 「・・・・・・君は召喚術が使えるのか?」 はぐうっ!?しまったのですよ!!(焦) 自分で疑惑の種を巻いてどうする。 は今更ながらに、自分が墓穴を掘っていることに気がついた。 「え、えっとですね、その・・・」 冷や汗が、再びどっとふきだす。 は視線を彷徨わせ、必死に言い訳を探した。 それでも何も思いつかず、けれどこれ以上黙っているわけにもいかない。 どうしたら良いかわからないは下を向いて それに続く理由も考えずに答えた。 「・・・・・・で、出来ないのです・・・」 ひとまずこういう結論に持ち込みたい・・・!!(切実) ネスティの反応を見るのが怖くて、俯いたまま、拳を強く握る。 ふぅ、とネスティが息を吐く音がして、ビクリと体を震わせた。 今、ここでこれが嘘だとばれてしまえば。 多分、自分のことだから誤魔化すなんて出来なくて。 イモヅル式に、全てを話さなくてはいけなくなる。 ・・・ネスティは、きっと“話したくない”で済ませてくれる人じゃない。・・・そんな、予感がする。 それに今までのことを考え合わせても、高い確率でそれは当たっているハズだ。 ・・・そうしたら・・・ はモルモット行きですかッ!? 思考がそこに達して、ゾッとする。(だから違うって。) ・・・はじっと、審判の時を待った。 「・・・そうか、まだ魔力が上手くコントロール出来ないんだな?」 ほえ? 予想もしていなかった一言。 おそらく、どうしたらいいかわからなくて下を向いた自分の動作が ネスティには、テストで悪い点をとってしまった子供が半分うやむやにしたいような・・・ この話題を避けたいような・・・ 痛い所をつかれて、ギクリとしているように見えたのだろう。 (いや、ある意味当たっているのだけれども。) つまり嘘を吐こうとしているのではなくて・・・ にとって言いづらい事実なだけだと。 それを知ったは、言葉を続けた。 ネスティさえ誤魔化せば後はどうにかなるのです!! コラ。 「・・・は、はいです。でも、そのうち使えるようになるって言われたです。 だからまぁ・・・はかなりの無理難題をふっかけられたのですけど。」 「ネス、どういうこと?」 マグナが首を傾げる。それにネスティは額を押さえて溜息を吐き・・・ ああ。この二人がこうだから、も同じに見られたのですね?(失敬。) 「そもそも。こちらの世界に召喚されてくるものは、少なくとも魔力を持ち合わせているんだ。 だから理論的には、召喚された身である彼女は召喚術を使えることになる。」 「じゃあどうして使えないのよ?」 「・・・だからそれをこれから言おうとしているんだろう?全く君達は人の話を聞いているのか!?」 「あー!ネス、ネス!!続けて続けて!!」 お説教が始まりかけたが、それを素早く察知したマグナ トリスの口を塞ぎ先を促すことで、それは未遂に終わった。 「・・・コホン。だが、本来召喚術とはリィンバウムにしか存在しないものだ。 だから彼女はまだその力を上手くコントロール出来ないんだろう。 召喚獣の中にも、頭脳派と肉体派がいるということだな。」 あ、なんか失敬なことを言われた気がするのですよ。(苛) そうが心の底で思っていると、ネスティがに振り返った。 「召喚術の知識は、サイジェントにいるときに教わったのか?」 「そうなのです!この世界の基本的な知識から、召喚術に関する知識まで ねっとり教えられたのですよ!!」 ねっとりッ!?(汗) キールの教え方はみっちりというよりジメジメしててねっとりなのです。 そんなことを言われているとは知らず。 フラットではキールが、くしゃみが止まらなくて困っていたらしい。 「ケッ!お前、本当にその石の中身、わかんねェで持ってるのかよ? 宝の持ち腐れってやつだなァ?」 ケケケ・・・とを見て笑い出したのはサプレスから来たというバルレル。 「もへ?バルレルはわかるのですか?この子。」 「当たり前だ!俺を誰だと思ってんだよ!?」 「生意気なちびっこ悪魔。」(きっぱり) 「ふざけんなッ!!・・・その石の中にはなァ・・・!!」 「わぁーーーッ!!わあーー!! 聞こえませーん!!なのですーーーッ!!!」 耳を塞いで、自分も大声で叫ぶと、絶対にわざと言おうとしているバルレル。 そしてその二人やり取りを、楽しそうに見つめる弟妹弟子を見て、ネスティは。 ・・・なんとなく、この先面倒を見る人間が一人増えるような。 嫌な予感を噛み締めていた・・・ |
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戯言。 ういうい。第二話は、視点っていうか方面でお送りしました。 しばらくはとのお話が交互に続きます。 それにしても、こんだけ登場人物多いと喋らせるのも一苦労ですねー。 レオルドとレシィ一言ずつしか喋ってないし(笑) 嘘の吐き方、あれはレナードさんが確かそんなこと言ってませんでした? (覚えとけよ) まだのお相手はほとんどが未登場なので、 笑えるくらい甘い場面がかけなくてつまらないです。(コラ) のほうは1の人がいるからぽんぽこかけるんだけどねぇ・・・ それから1話から出てきてるばのっぴーに貰ったサモナイト石。 どういう経緯で彼女の元に来たのかは、機会があったら短編とかでかいてみたいです。 しかも読み直すとほんと見苦しい。以前より読み苦しい文章をかくようになった気がする・・・(汗) こんな汚い文章だったっけ!?とか1話思ったんですが、 もうアップしちゃったのでいいです。こんな文章で行きます。 いやぁ、ドリームって難しいですなぁ。なんだか妙に疲れるんですが。(苦笑) でも出来るところまでは続けたいですね。 |